内戦続くスーダンに憤る米国宗教界

執筆者:立山良司2001年7月号

 スーダンという国名は中世のイスラム教徒がサハラ砂漠以南を「黒人の国(ビラード・アッスーダン)」と呼んだことに由来するように、この一帯は長い間、非アラブ、非イスラム地域だった。北部は十六世紀までにほぼアラブ化、イスラム化されたが、南部は現在も非イスラム教徒の黒人が中心だ。その南部で激しい内戦が続いている。二〇年間で二〇〇万人が死亡、四〇〇万人が難民になったといわれ、犠牲者の殆どは南部スーダンのキリスト教徒か、アニミズムなど土着宗教の信者だ。 これに対し激しく怒っているのが米国の宗教界と政府だ。米政府の諮問機関である「宗教の自由国際委員会」が今年三月に出した報告書は「信教の自由に対するスーダン政府の侵害は世界中で最もひどい」という表現で始まっているし、ブッシュ大統領は五月に「スーダンでの残虐行為に世界は目を向けなければならない」と力説した。 現在、スーダン国民の七〇%はスンニー派イスラム教徒で、主に北部に住み、残り約二〇%のキリスト教徒と一〇%の伝統的宗教信者の殆どは南部に集中している。スーダンがこのような非連続的な国家となったのは、英国とフランスの恣意的なアフリカ分割の結果にほかならない。それだけに南部で自治権の拡大や独立を求める運動は一九五六年の独立直後から始まり、ディンカ族主体の反政府組織「スーダン人民解放軍(SPLA)」と政府軍との内戦は断続的に半世紀近く続いている。

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