防衛庁は沖縄県伊良部町にある下地島空港を航空自衛隊の補助基地として活用する方向で検討を始めた。中国の軍拡を睨んでの措置で、実現すれば沖縄本島以南に初めて実戦部隊が配備される。下地島空港は宮古島から船で十五分。国際線の離発着も可能な三千メートルの滑走路を備えている。民間航空各社の訓練場として活用されてきたが、海外に訓練が移転して、空港は半ば休眠状態。 下地島を抱える伊良部町の浜川健町長と町議会が自衛隊誘致を求めて防衛庁に陳情、中谷元・防衛庁長官も空港利用に意欲を示した。那覇基地の戦闘機が給油する補助基地としての活用案が浮上している。空自幹部は「那覇基地から尖閣諸島や与那国島までの距離は遠く、領空侵犯されても対処できないのが実情。途中に下地島空港があれば、燃料を気にせずにスクランブルできる」と話す。 旧型機が多い中国空軍だが、ここ数年、近代化を急ぎ、現在では最新鋭のスホイ30戦闘機を十機、スホイ27戦闘機を六十五機保有している。 下地島空港を基地として戦闘機部隊を配備すべきとの声も防衛庁内にあるが、幹部は「他の基地が手薄になるため無理。それ以上に、中国を刺激する」と語る。まずは補助基地化が精一杯ということのようだ。

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