ソニー、ブリヂストン、マイカル株の急落劇を誰が、どうやって演出したのか―― それは凄まじい売り攻勢だった。ソニーの二〇〇一年四―六月期連結決算発表を受けた、七月二十七日朝の東京株式市場。ある外国証券の担当者は海外投資家からの売り注文への対応に追われ、息つくヒマもなかったという。 この日、ソニー株は前日比八一〇円安の六二六〇円と急落。値下がり幅がストップ安寸前となる場面もあった。ソニーの連結営業利益は前年同期比九割減と市場予想よりも大幅に悪化し、「国内外の機関投資家が狼狽して売り急いだ」と説明されている。それも一面の真実だろうが、少なからぬ市場関係者が注目するのはヘッジファンド主導の急落劇である。実際、有力米系ファンドに近い関係者は「大量にソニー株のカラ売りを出し、いまは買い戻しのタイミングをうかがっている米系ヘッジファンドがある」と話す。 ここ数年、海外投資家の影響力がぐんぐん増す中で、日本の株式市場の構造に急激な変化が起こっている。二〇〇一年上半期の日本市場全体の売買代金のうち、海外投資家による売買額は五割強に膨らんだ。日本株の保有比率は全体の二割近くに達し、すでに都銀・長銀・地銀を大きく上回る“株式会社ニッポン”の大株主である。

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