一大産業と化したブランドビジネスの歴史と戦略 六月二十八日、東京・銀座のソニービルの隣に、フランスの高級ブランド、エルメスが、売り場面積千百五十平方メートルの大型店をオープンした。外壁がガラスでできた地上十二階地下三階のビルには、エルメスの皮革製品やスカーフが並ぶだけでなく、職人が仕事をするアトリエもあり、文字通り「エルメスの世界」が展開されている。開店以来、女性客が詰めかけ、入場規制するほどの人気ぶりとなっている。 その翌々日。イタリアの皮革ブランドであるグッチが、銀座通りにある松坂屋銀座店に大型店をリニューアルオープンした。売り場面積は五百平方メートルと従来の三倍。品ぞろえも増やし、エルメスに負けじとブランド・イメージの拡大を図っている。 有名ブランドが集結していた銀座には、昨年十一月に仏ルイ・ヴィトンが松屋銀座店に千二百三十平方メートルの大型店を開いている。だが、エルメス、グッチの登場は、銀座の「地政学」を見るうえで大きな意味があった。エルメス―ルイ・ヴィトン―グッチの三つの大型店を線で結ぶと「ブランドの三角地帯」ができあがり、近くの並木通りも含めて銀座の「ブランド街」イメージが飛躍的に高まったからだ。

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