南米各国ではペルーのフジモリ前大統領の不正蓄財が告発されたのをきっかけに、かつての大統領の“悪業”を追及する動きが表面化している。 ボリビア検察当局筋によれば、八月にがん治療のため辞任したバンセル前大統領に対し、在任中の一九九八年に災害救援用の航空機一機を米国から購入した際に予算を水増しし、差額の百五十万ドルを着服した疑いで近く捜査が開始される。バンセル氏は七一年にクーデターで政権の座に就き約八年間独裁的軍政を敷いた後、九七年に選挙で大統領に選出されるなどボリビア政界の長老的存在。軍政時代に日本から受けた資金援助絡みでも収賄の疑惑が浮上しているという。 一方、アルゼンチンのメナム前大統領は七月、クロアチアやエクアドルへの武器・弾薬の不正輸出で利益を上げていたとして司法当局から起訴された。また、パラグアイのワスモシ元大統領も八月、九三―九八年の在任中にケイマン諸島にある銀行に秘密口座を持ち、不正蓄財をした容疑で告発されている。リマの外交筋は「ペルー当局のフジモリ氏追及が刺激となって各国司法当局が動いている」と指摘している。

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