国防総省が、宇宙空間から地上の目標を正確に爆撃する有人の「宇宙爆撃機」の開発を検討していることが、一部のメディアにリークされた。爆撃機は弾道ミサイルのように打ち上げられ、地上百キロ以上の超高度から目標を狙う。六月、ラムズフェルド国防長官が開発の可能性を本格的に探るよう指示したという。 実現すれば、既存の爆撃機の十五倍の速度を誇り、三十分で地球の裏側の目標を攻撃できるという。 ところで専門家は、この爆撃機の実現の可能性の有無よりも、むしろ「宇宙空間の覇権」を狙う米国の姿勢に注目している。 ブッシュ政権のミサイル防衛計画で中国などが警戒しているのは、自国の弾道ミサイルの無力化だけではない。宇宙空間を、米国が事実上支配する事態を最も恐れていると言われる。 米国にとっては、「ならず者国家」の弾道ミサイル発射をキャッチする警戒システムを守るためにも、宇宙空間の絶対的優位を確立する必要がある。だが、「宇宙爆撃機」計画は、ミサイル防衛のように防衛システムだけではなく、攻撃システムにも宇宙空間を活用するブッシュ政権の意図の表れと受け止められている。

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