中国の有人衛星打ち上げが、当初の予定よりほぼ半年、ずれ込む見通しとなった。打ち上げの日時は、単に科学的・技術的観点から決められるのではなく、内外に向けての政治的・宣伝的効果も勘案される。これまでは来年秋に開催される予定の中国共産党第十六回大会の直前に打ち上げを成功させ、五年に一回開催の党大会を大いに盛り上げる手はずだったが、中国筋によると「安全問題にからむ技術的な困難が明瞭となった」ため、予定どおりの打ち上げは不可能となった。 国家宇宙局は、翌二〇〇三年三月に予定される第十期全国人民代表大会第一回会議直前を新たな打ち上げ時期として定め、準備を急いでいるという。 中国は九九年十一月に無人の「神舟一号」の打ち上げ・回収に成功、今世紀初頭には有人飛行を実現させる青写真を示した。実はこの際も、もともとは同年十月一日の建国五十周年記念日にあわせる計画だったが、同じく技術的な理由でほぼ一カ月ずれた。今年一月の「神舟二号」に続き、年内にもう一回、さらに来年前半に一度の計三回、有人衛星打ち上げに先立つ無人飛行実験を予定しているという。

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