二〇〇五年夏に運転開始が予定されている青森県六ケ所村の原発の使用済み核燃料再処理プラントに、技術的な不安が持ち上がっている。同施設は東京電力、関西電力など電力十社が出資する日本原燃が九三年に着工、今年春から配管の接続や溶接状態などを確認するための通水試験に入っている。 だが、この段階になって電力業界の関係者からすら「動くかどうかわからない」との声が出ているのだ。同プラントはフランスのコジェマ社のラ・アーグ工場をモデルに設計されているが、基本技術が日本にないうえプラントメーカー、ゼネコンが群がるようにつくっているため、コジェマ社の技術指導が徹底できないからだ。実際、同プラントに隣接して建設され、すでに運転中のウラン濃縮工場はトラブル続きで、正常に動いているのは「全体の三割程度」(関係者)という状況だ。 再処理プラントの総工費は二兆一千四百億円。電力業界には一キロワット時あたり一円程度の電気料金のコストアップ要因になる金額だ。それが稼働しないとなれば、電力業界の経営を圧迫するのは間違いない。日本原燃は八月末にコジェマとの技術協力協定を強化、立て直しに懸命だが不安は高まるばかりだ。

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