コソボからマケドニアに「武力革命」が流れこんだ。「少数民族の地位向上」は、謳い文句に過ぎない……。現地からの最新報告。[スコピエ発]「アルバニア人たちが我々に攻撃を加えるなんて、全く寝耳に水の出来事だった」。今年二月に始まったアルバニア系武装組織「民族解放軍(NLA)」の武装蜂起に関して、マケドニア社会政治法律学研究所のパンデ・ラザレフスキー所長はこう述べた。確かにそれは、旧ユーゴスラビア連邦から平和的に独立した唯一の国マケドニアを襲った突然の出来事だった。 今となってはそのイメージは完全に崩れてしまったが、つい半年前までマケドニアは「多民族共存社会の良き手本」として、欧州連合(EU)はじめ国際社会の賞賛の的だった。隣国のギリシャやブルガリアと違い、マケドニアは自国内に少数民族が存在することを公に認め、その権利拡大にも努めてきたからである。 総人口のうち、マケドニア人の六七%に次ぐ二三%を占めるアルバニア人は、例えば小学校から高校、短大まで母語であるアルバニア語で教育を受けることが保証されており、この九月からは大学教育でもそれが認められることになっていた。またアルバニア語のテレビ局、ラジオ局、新聞社、劇場、それにアルバニア人だけで構成される政党まで存在する。それどころかアルバニア人の政党は、マケドニア独立以来一貫して連合政権の一翼を担い、政権運営にも参加してきた。現在十七ある大臣ポストのうち六つをアルバニア人が占め、議会の副議長もアルバニア人が務めているのである。

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