風力発電所を作ろう

執筆者:堀田昌之2001年9月号

日本初の市民風車建設を成功させた情熱 日本最北端の宗谷岬から南東に約六十キロ。冬は流氷に閉ざされるオホーツク海に面した浜頓別町に、日本初の市民による風力発電所が誕生した。八月二十一日には、デンマークから到着した発電機が高さ六十メートルの支柱に据え付けられた。「市民風車を作ろう」と呼びかけた北海道グリーンファンド事務局長・鈴木亨(四三)は、発電機が吊り上げられ、あるべき所に納まった瞬間、「子供が一人増えたような気分になった」と振り返る。 鈴木はエネルギー問題の専門家ではない。東京の生活クラブ生協に勤め、八八年に北海道に異動した後も、主な仕事は共同購入した食品を家庭に届けるトラックの運転だった。その鈴木が欧米で広まり始めた「グリーン電力」を知ったのは九六年のこと。北海道は泊原発三号機建設の是非をめぐって揺れていた。グリーン電力とは、割高な料金でも環境負荷の少ない電力を人々が使うことで環境に優しい発電施設を維持、増やしていこうという運動だ。「野菜なら有機野菜も選べるが、電力は選べなかった。ところが九五年の電気事業法改正で電力の規制緩和が始まった。このまま進めば日本でもグリーン電力はできる。何かしなくてはと、日本の事情にあった電力を選ぶ仕組みや発電所を作る方法を調べ始めた」

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