倒産してなお迷走を続けるマイカル

執筆者:松廬征幸2001年10月号

クーデター騒動を起こした経営者、無策のメーンバンクは去った。しかし、その後にやってきたのは、功を焦る弁護士・裁判所連合と、彼らの経済オンチにつけこむ投資銀行だった。「えっ、あと五十億円も足りないのか」。九月二十六日早朝。部下の報告を受けたマイカルの資金担当A氏は、思わず息を呑んだ。二十八日の午後三時には、納品支払い九十億円の決済が迫っている。「新生銀行やサーベラスがつなぎ融資の要請を見送りました」。昼前には、フィナンシャル・アドバイザー(FA=財務相談役)を務める大和証券SMBCから連絡が入る。A氏は苦々しくつぶやいた。「何のために弁護士やFAを雇ったんだ」。 九月十四日に東京地方裁判所へ民事再生法(民生法)の適用を申請したマイカルは、現在、自主再建のためにスポンサーを探している最中だが、見通しは明るくない。噂された米ウォルマートのスポンサー就任も、実は審査交渉すら始まっていなかった。九月二十八日の決済は大和証券SMBCからの緊急融資でしのいだが次はどうか。推計で二百億円程度の大型支払いを控える十月末は、第二の「Xデー」との噂もある。「破綻の破綻」は存在する。資金ショートが生じた瞬間に、民生法適用申請企業は裁判所から「自主再建ができない」と判断され、破産宣告を受ける。すると、破産法における会社解散の手続きを取らざるを得なくなるのだ。

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