米フロリダ州とニューヨーク市で「炭疽菌」の感染者が相次いだことで、生物テロの可能性が非常に強くなっている。果たして、日本で「バイオテロ」が行なわれたら、対処できるのか? 昨年、本格的な対策に乗り出した防衛庁は「生物兵器への対処に関する懇談会」をつくり、今年四月、報告書をまとめた。米陸軍感染症研究所なども視察した結果、テロに使用されやすい生物剤に「天然痘ウイルス」と「炭疽菌」を挙げている。 天然痘は既に根絶されており、ウイルスは米ロなどわずかの国に保存されているのみ。もちろん“流出”の危険は残るが、より使用される可能性が高いのは炭疽菌だ。エアロゾル化された菌を吸い込み感染すると、発熱、せきなど風邪のような症状に続いて呼吸困難を引き起し、二十四時間から三十六時間で死亡する。 防衛庁幹部は「バイオテロを完全に防ぐのは無理」と断言する。ただ、大量散布は軍隊でもないと難しいため、小規模テロはありえても大惨事には至らないとの見方だ。 防衛庁は二十九億円の予算を計上し、化学防護車二両の追加購入、米陸軍化学学校への留学、化学防護小隊の改編などを決めたが、これはあくまで二次災害予防策にすぎない。

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