アフガニスタンのタリバンに対する米英の空爆が激化するにつれ、世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシア国内も騒然としてきた。首都ジャカルタの米、英大使館前には連日デモ隊が押し寄せ、米国人への襲撃が公然と叫ばれる。このため、米、英、豪などの政府は自国民に対し退避を促す事態となり、外国人バックパッカーが利用する安宿街、ジャクサ通りも閑散としている。 スラウェシ島のマカッサルでは、米国の同盟国・日本の総領事館が攻撃され、米国の象徴でもあるマクドナルドへの襲撃も起きている。 反米デモを組織しているのは、急進派イスラム団体「イスラム青年運動(GPI)」で、十月十一日には、タリバンが呼びかけるジハードに参加する志願者の選考を行なった。そしてGPIの背後にはハムザ・ハズ副大統領が党首を務める開発統一党の影がちらついている。 故スカルノ大統領時代に禁じられたイスラム運動「マシュミ」の流れを汲むGPIには、開発統一党支持者が多い。社会不安を高めることで、メガワティ大統領の基盤を揺るがし、辞任に追い込む、という副大統領とアミン・ライス国民協議会議長の思惑があるとの観測が有力だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。