黒海上空で爆発、墜落したシベリア航空機の乗客のほとんどがイスラエル人だったことで、ロシアからイスラエルへの移民が改めて脚光を浴びた。だが、最近では、ロシアやウクライナなど旧ソ連圏から、事実上はユダヤ人とは言えない人々がイスラエルへと大量に流れ込んでいる。 イスラエルの関連法規では、父方か母方のどちらかの祖父母の一人がユダヤ人なら優先的に移民が認められる。このため、ユダヤ教の信者でもないのに移民する人間が増えている。パレスチナ人が「入植のための水増し移民」と批判する人々だ。 旧ソ連圏では、賄賂を使えば偽の証明書が比較的簡単に作れるため、出自をユダヤ系と偽ってイスラエルを目指す例も多い。 こうした人々の実態は、親族との結び付きを求めたり、差別を逃れたりするために母国に戻る伝統的なユダヤ人帰国者ではなく、より豊かな生活を求める「経済難民」に近い。 だが、イスラエル政府は、パレスチナ人に対する「ユダヤ人」の人口比を増やすために、ある程度見て見ぬふりをしている。パレスチナ情勢の緊迫から、徴兵年齢の若者は特に歓迎する傾向がある。今年は年間四万五千人の移民が見込まれ、その五分の四は旧ソ連出身という。

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