九月中旬に経営統合を決めたばかりの大和銀行とあさひ銀行が、早くもギクシャクし始めた。あさひ銀内部から「屈辱的な吸収合併」(同行幹部)に対する不満が高まってきたためだ。「株式相場が上昇して含み損が解消できたら、統合を白紙に戻すべきだ」との身勝手な声もある。 そもそもあさひ銀からみれば、大和銀は格付けも低く、収益力も弱い、いわば格下。大和銀が持ち株会社を作って政府保有の優先株への配当が可能になったため、配当余力が乏しかったあさひ銀が頭を下げたわけだが、統合に向けた協議が始まると「大和銀は高圧的で人事にも介入してくる」(あさひ銀幹部)という。 とりわけ、あさひ銀の神経を逆撫でしているのが青木建設問題。あさひ銀は日本興業銀行とともに青木建設のメーンバンクだが、大和銀は青木建設の経営状態を懸念して引当金の積み増しを要求したという。あさひ銀は引当金を積み増せば自己資本が減り、統合比率も低くなりかねないと抵抗する一方、大和銀がメーンの長谷工コーポレーション問題を取り上げたとされ、統合協議は泥仕合の様相だ。あさひ銀にはUFJグループから離脱した“前科”があるだけに、両行の動向から目が離せない。

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