与党三党の迷走ぶりを浮き彫りにした衆議院選挙制度改革は「一年先送り」で決着したが、迷走の原因となった山崎拓自民党幹事長への反発が与党内で強まっている。 中選挙区制を一部取り入れる選挙制度改革案は、もともと山崎幹事長が町村信孝幹事長代理、細田博之党総務局長らと相談して作ったもの。しかし山崎氏は、小泉純一郎首相に具体的内容はもちろん、それを公明、保守両党に示し合意を取り付けた経緯すら報告していなかった。さらに混乱に拍車をかけたのが、十月末の党選挙制度調査会で、こともあろうに山崎派の五人の議員が同案に反対をぶち上げたことだ。 山崎幹事長は公明党に、「改革案は実現可能」との甘い情報を流す一方で、自派の議員に改革案つぶしをさせたことになる。これは明らかなマッチポンプ。実際、福岡で中選挙区制が導入されると、山崎幹事長は落選しかねない情勢なのだ。 さらに山崎幹事長は、国連平和維持活動(PKO)法改正で「PKF解除、PKO参加五原則見直し」も唱えたが、「ヤマタクはパキスタンに行っておかしくなった。何を考えているのかわからん」(冬柴鐵三公明党幹事長)と公明はにべもない。公明党には「テロ対策法に続きPKOまでやると支持者の反発が出かねない」との危惧が強いが、民主党との接触を続ける山崎幹事長に対する不信感も根強くある。

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