タイのプーケット島――アンダマン海に浮かぶ国際的リゾート地として知られ、日本からの観光客も多い。東京、香港などから直行便が飛び、例年であれば十一月から三月のシーズンは観光客で賑わう。自由が売り物のプーケット島には、あらゆる人々が集う。観光客、ビジネスマン、そしてゲリラやテロリストも例外ではない。 プーケット島は、国際的リゾートとしての華やかな顔と同時に、反政府ゲリラや海賊の実行犯が接触する秘密基地としての顔をもつ。国際犯罪組織に対しても開かれた島なのだ。アンダマン海に没する太陽に多くの観光客が魅了されている時、観光客があまり足を運ばない島の裏側や、内陸のプーケット・タウンで、スリランカからやって来たタミル人が目撃されたことがある。 スリランカの過激派集団タミル・イーラム解放の虎(LTTE)は、プーケット島で小型潜水艦を極秘に調達する計画を進めていた。イーラムとは「国」であり、タミル・イーラムとはタミル人の国を意味する。解放の虎は、スリランカを支配するシンハラ人からの独立を目指し、武装闘争を繰り広げる少数民族タミル人の武装グループだ。スリランカの首都コロンボで政府要人を狙った自爆テロを仕掛けるなど、闘争の過激さで知られる。

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