去る十一月、アフガニスタンのタリバン最高指導者オマル師が秘かに投降を計画したが、直前になってパキスタンの密使がオサマ・ビン・ラディン一派に捕らえられたため実現せず、それを機にオマルとオサマの間に溝ができていたとの情報がある。 十二月初め、パキスタンに亡命したオマルの元側近らが明らかにしたところによると、同師は十月下旬にパキスタン政府を通じ、「タリバンへの攻撃中止を前提条件に自分が投降する用意がある」ことを米側に伝え、これを受け、米・タリバン・パキスタンの三者間の秘密接触が何回か行なわれた。 投降の具体的日時や場所、方法などで合意が成立。オマルはラマダン入り直前の十一月上旬、アフガン山岳地帯の潜伏先を出て、投降するためパキスタンに向かう手はずだった。ところが、投降を手引きするパキスタンの密使がビン・ラディンを信奉するタリバン兵によって捕らえられ、行方不明となったことから、同師は計画を断念したという。 元側近は「ビン・ラディンがオマルの極秘計画を知っていたとは考えられないが、この事件以後、両者の関係はぎくしゃくしたものになった」と語っている。

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