二〇〇二年三月、陸上自衛隊に新たな機動展開部隊が編成される。野外の戦闘を得意とするレンジャー隊員が相当数含まれる見通しで、テロ攻撃への対処も可能になる。新部隊が置かれるのは、九州全域と沖縄を担当する西部方面隊で、陣容は直轄連隊約六百六十人。佐世保市の相浦駐屯地が本拠地になる。 特徴は、移動の足として五十五人の兵員を輸送できる大型ヘリコプターCH47四機をはじめ、大小二十四機のヘリを活用する点。陸自といえばこれまでは車両移動が主力だったが、新しい部隊は、遠隔地への迅速な展開が初めて可能になる。 主に担当するのは、島嶼部で起きる不測の事態への対応。九州には大小千八百もの島があり、九七年二月には鹿児島県の下甑島に中国人二十人が密入国して大騒ぎになった。新設の部隊は、こうした島々に侵入したゲリラや正規軍の特殊部隊に対抗して夜間でも活動できるよう、夜間暗視装置も装備される。 新部隊創設の背景にあるのは、やはり北朝鮮不審船事件や米同時多発テロ事件。だが、テロ対応が可能なのは、防衛出動か治安出動の発動時という制約は相変わらず。現状では、せっかくの部隊がただのお飾りになる可能性もある。

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