タリバン政権包囲網の一環として、国際テロ関係者の預金封鎖を実施した日本政府。しかし、地下鉄サリン事件から七年近く経ったいまも、国内テロを対象にした資金凍結の法律は存在しない。 ニューヨーク世界貿易センタービルへの自爆攻撃を契機に、テロの資金源を断つため世界で資金管理規制を強化する機運が高まってきた。日本政府も急遽、国内体制整備の検討に乗り出したものの、危機管理意識の低さが目立っている。 日本の対応が遅れている点は、テロ関連資産の凍結手続きが杜撰なこと、テロの資金支援者を十分、処罰できないことなど、例を挙げればキリがない。このままでは、突発的なテロへの対応を巡り、小泉政権が再び揺さぶられる可能性もある。「サトウ」や「スズキ」だったら? 米国での同時多発テロ後、日本政府は外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、数度にわたり資産凍結命令を発動した。タリバン政権関係者のものとみられる国内銀行口座など少なくとも総額約九千万円が封鎖された。 九月二十二日に発動した第一回目の凍結処分で政府は、今年春に国連の制裁委員会が作ったテロ関係者リスト(百六十五の個人・団体)をそのまま使い、官報で告示し国内銀行に対して資産凍結を命じた。しかし米政府は、実はこのリストとは別に米FBI(連邦捜査局)が独自に作成したテロ関係者のリストも使って、資産凍結を実施している。訪米した小泉純一郎総理は、「米国のテロ対策を最大限支援する」と胸をはったが、実は外為法発動には「国際的な約束」が必要。このため「FBIリストを早く国連決議に格上げしてくれないと、対米協力などやりようがない」と政府関係者をやきもきさせたこともあった。その後、FBIのリストを国連が採用したため、十月十二日、政府は追加凍結にようやく踏み切ることができた。

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