東シナ海で起きた不審船事件で、防衛庁は北朝鮮と不審船との暗号通信を傍受した。傍受したのは奄美諸島・喜界島の通信所と呼ばれる通信傍受施設。防衛庁は傍受能力をさらに向上させるため、喜界島に大がかりな電波監視装置の建設を計画中だ。 非公表ながら、情報収集のための通信所・分遣班は全国に九カ所ある。ロシア、中国、北朝鮮の軍や一般で交わされる長波、中波、短波の通信を収集・分析するのが役割で、通信所は東千歳(北海道)、小舟渡(新潟)、大井(埼玉)、美保(鳥取)、太刀洗(福岡)、喜界島(鹿児島)の六カ所。分遣班は東千歳通信所の出先で、稚内、根室、奥尻島の道内三カ所にある。いずれも統合幕僚会議情報本部に所属し、合計一千人の陸海空自衛官が勤務している。 防衛庁は中国本土や東シナ海洋上の通信傍受を充実させるべく、喜界島の通信施設に東千歳や美保にあるものと同じ円形アンテナ群(通称「象のオリ」)を建設する計画。完成すると、よりクリアな音声の傍受が可能になる。 防衛庁幹部は「既に用地買収は九八%終了。買収が終わり次第、着工する。通信傍受能力の向上は米国からも期待されている」と語る。

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