外資の目に晒されるゼネコンの「虚構」

執筆者:仲野陽太郎2002年1月号

青木建設の破綻をきっかけに、世界から隔絶された日本の建設市場に風穴が開く可能性が出てきた。だが海外勢にとっての“参入障壁”は消えていない。浮かび上がる政府、企業、銀行の「罪と罰」――。 日本の建設市場に風穴が開こうとしている。“危ないゼネコン”筆頭格だった青木建設が昨年十二月ついに破綻したが、そのスポンサー(民事再生法下の支援企業)としてスウェーデン最大手ゼネコンのスカンスカ(本社ストックホルム)、独最大手のホッホティーフ(同エッセン)の二社が名乗りを上げたかと思うと、仏最大手ゼネコン、ブイグも日本市場参入準備に入るなど、ここに来て外資参入の動きが一気に活発化しているのだ。戦後、半世紀以上にもわたり国際競争から隔絶され続けた巨大市場に外資の影がひたひたと迫っている。「建設市場もようやく自動車やパソコン並みに国際競争に晒される。時代の流れだ」。外資参入の一報を聞いた政府幹部はこうつぶやき、深い溜め息をついた。「政治is建設、建設is政治」――。ゼネコンとそのゼネコンが生息する建設市場は、一九五五年の自民党体制の確立以後、政治、特に建設族の多い橋本派(旧経世会)と密接に絡まり合いながら膨張し続けてきた。ゼネコンはカネと票を、政治はその見返りとしての公共工事を互いに供給し、強固な相互補完関係の中で建設市場のパイは着実に成長を続けた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。