昨年末に東シナ海で発生した不審船事件で、改めて北朝鮮の麻薬疑惑が注目を集めたが、北朝鮮で金正日総書記の統制から離れた麻薬犯罪組織が誕生し、活動を行なっている実態が明らかになってきた。 麻薬問題を担当する米政府高官によると、現在北朝鮮には金正日が直接掌握する麻薬ビジネス担当部署があるが、それとは別に北朝鮮と中国、ロシアの間で独自に活動する麻薬犯罪組織が大小十余りあり、なかでも、中ロとの国境近くで活動する麻薬犯罪組織は、北朝鮮警備軍の監視の目をくぐり、中国ロシア、韓国、台湾の麻薬業者と結んで、日本をマーケットとする北朝鮮産の麻薬密輸出に本格的に着手しているという。 こうした“独立系”の麻薬ビジネスが生み出す莫大な利益が金正日体制を脅かす可能性もある。この高官は、一部の麻薬犯罪組織は金正日体制の統制が及ばないだけでなく、警備当局と直接対決すらできる武装とインターネットや衛星電話を駆使した国際的なネットワークを持つまでに成長しつつあると指摘する。

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