ブレア米太平洋軍司令官が二月初め、ベトナム南部のカムラン湾海軍基地の米艦使用に向け、ベトナムと交渉していることを公表、米海軍のアジアでの広域展開戦略の一環と注目されている。 米軍は現在、グアムの海・空軍基地の拡充工事を進めている。シンガポールは二年前、米側の要請で港湾施設を拡張、米空母の横付けを可能にした。米国はフィリピンともスービック海軍基地の再利用を交渉しており、インドネシアにも米艦寄港を働き掛けている。域内への展開強化は、(1)将来的な在日米海軍基地の縮小(2)沖縄の海兵隊移転(3)アジアとペルシャ湾岸を結ぶ米軍の広域展開能力強化(4)中国の海軍力強化への対抗――などの理由が指摘されている。 なかでもカムラン湾は域内最高の天然の良港で、空軍基地も隣接。旧ソ連軍が建設した滑走路や情報施設、三千人収容可能な兵舎もある。「恒久的な基地にはしない」(ブレア司令官)とされるが、米軍はベトナム戦争中に自ら建設した同基地への復帰を目指しているようだ。 カムラン湾が米軍基地になれば、中国には重大な脅威。二〇〇四年のロシア軍カムラン湾全面撤退に向け、米中の角逐が起こりそうだ。

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