紆余曲折の果て、外務省の新事務次官に決まった竹内行夫駐インドネシア大使に対して、ロシアが警戒感を強めている。 プーチン大統領の人気を確実なものにしたロシア軍の第二次チェチェン共和国進攻に際し、日本政府は内政問題として「黙認」する姿勢を示した。このとき竹内氏は、エリツィン時代の第一次進攻の際と同様に「人権問題」として対処すべきと主張したとされる。 一方、政府の「黙認方針」決定の裏で動いたと言われるのが、鈴木宗男代議士。北方領土問題では二島先行返還での得点稼ぎを狙っており、ロシアに擦り寄る姿勢には“定評”がある。このため、今回の竹内氏の起用は「鈴木封じ」人事とも目される。 外務省内部では、鈴木氏らが進めてきた二島先行返還路線と四島一括路線の確執が依然くすぶり続けている。田中真紀子前外相という「共通の敵」がいなくなった今、新次官の登場で両陣営の対立が再び先鋭化する可能性も指摘される。 二島決着を狙うロシア側はこうした事情を把握。東京発のタス通信は竹内氏について「ロシアに対する強硬派」「部下に極めて厳しい保守主義者」と決めつけている。

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