ペイオフ解禁で預金総額一千万円までしか保護されないのは自治体も一緒。独自の基準を作って対応を図る自治体が出てくる一方、「地元金融機関と心中だ」と開き直るところも……。 今年四月から、いよいよペイオフが解禁される。解禁後に金融機関が破綻すれば、預金が保護されるのは、原則として一千万円とその利子までになる。ペイオフの対象になるのは、個人の預金も地方自治体の公金も同じ。このため、金融機関を厳しく選別、一定の基準がクリアできなければ、公金を引き揚げるという対応を始める自治体が増えてきた。 こうした動きに、金融庁が神経を尖らせている。自治体が過敏に金融機関を選別し、公金を引き揚げれば、それが引き金となって取り付け騒ぎが起きかねないからだ。「危ない金融機関は早めに処置し、金融不安は起こさせない」というシナリオが狂うことを懸念した同庁は、自治体の動きを牽制するよう総務省に働きかけている。 ただ、ペイオフで多額の公金を失った場合、賠償責任が生じるのは資金管理担当の職員個人。こうなると総務省も露骨な口出しはできない。「命がけ」の各自治体は、一斉に公金防衛策に走り始めた。「使えない」選択肢 地方自治体が金融機関に預託する公金は、大きく分けて、特定の政策に支出するため積み立てておく各種基金と、行政サービスに必要な支払いに充てる歳計現金の二種類がある。

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