ユニクロ流「製造小売業」の真価

執筆者:中上川達2002年2月号

上場以来初の減収減益見通しを発端に、株価暴落という危機に陥ったファーストリテイリング。フリースからトマトまでを工業製品化する“革命”はこのまま続くのか。 カジュアルウエア専門店「ユニクロ」をチェーン展開し、急成長してきたファーストリテイリングの株価凋落が激しい。もともと昨年五月のピーク時に二万八〇〇〇円だった株価が今年一月八日に約一万二〇〇〇円まで下がってはいた。しかし、同日、業績を大幅に下方修正し一九九四年の上場以来初の減収減益に陥る見通しだと発表するや株価はさらに急降下。一週間で七〇〇〇円台に落下した。 売上高が前年同月比二四%減と大幅に落ち込んだ一月の業績が明らかになった二月初めには五〇〇〇円近くまで落ち込んだ。株式市場では「ユニクロ神話」は終わったという見方が広がり、「完全に衰退期に入った」という声すら聞かれる。本当にそうか――。 同社の昨年八月期の売上高は約四千百九十億円と三年間で五倍、経常利益は一千三十億円で同十六倍。まさに破竹の進撃だ。同社はその進撃の余波を見込み、「今までほどは伸びないが安定成長する」とみて、今八月期の売上高を四千八百億円、経常利益を一千二百億円とする計画を立てた。それが既存店ベースで前年比一五―二〇%という売上げ減に見舞われ、急遽、今期の売上高を三千九百億円、経常利益を八百億円へと下方修正したのである。修正幅は売上高で九百億円、経常利益で四百億円と確かに大きい。昨今の低迷から今期の売上高は三千四、五百億円まで下がるという見方もある。

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