「情報」に強いジャーナリストや研究者はどんな媒体に注目し、何を判断基準とするのか? それを探るためフォーサイト執筆陣にアンケートをお願いしたところ、四十人の方々から示唆に富む回答をいただいた。 最も参考になるのは、やはり「情報の判断基準」だ。未来学者のアルビン・トフラー氏は、「誰が恩恵を受けるのか」を念頭に情報を吟味すると語っていたが、そういう意味で、何を基準にするのかを尋ねてみた。共通するのは、情報の表層ではなく「背景」を読む努力だ。「背後にある(国家あるいは筆者の)意図は何かを考える」というのは、森本敏拓殖大学教授。経済問題であっても、「根っこにあるのは政治的意図ではないか」を探るというのは、エコノミストのウィリアム・エンダール氏。「いったい誰の世界観(欧州か米国か、など)を反映したものか」を考えるのは、経済ジャーナリストのブルース・ストークス氏。「情報の出所」に注目したうえで、その後の展開を予測するというのは、元共同通信ウィーン支局長の中村登志哉氏。 在米ジャーナリストの森暢平氏は、さらに詳しく説明してくれた。「新聞を読む際、ニュースソースは具体的にどこかを類推する。たとえば、ワシントンの日本大使館の大使会見では、非公式の発言は“日米外交筋”となる。米国の新聞でも、ソースのほとんどは『ガバーメント・オフィシャル』とぼかしてあるが、そこに『シニア』とつけば閣僚級の発言と見ていい。こうしたことを頭に入れながら記事を読むと、記事の信頼度や意図が読めてくる」

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