情報分析力を鍛える外務省「地域研究会」

執筆者:フォーサイト編集部2002年4月号

それは、長年、情勢分析に携わってきたある大使の、一通の手紙から始まった。外務省の情報のプロたちが積み重ねている、地道な努力をレポートする。 職員の公金横領、外交とは無縁の大臣による“破壊活動”、そして、ヤクザそのものの国会議員による介入と、外務省幹部らの黙過、追従――先頃発足した「(外務省を)変える会」が、こうした混乱を収拾することができたとしても、それは外務省改革の入り口に過ぎない。長期にわたる混乱の結果、肝心の外交政策は世界の動きから取り残されつつあるし、政策立案を支える情報収集活動も、はなはだ心許ない状況に置かれている。「発展途上国で紛争やクーデターが起こった場合、現地の日本大使館ではろくに情報をもっておらず、間違っていることも多いので、普段からアメリカ大使館にルートを作っておいて、彼らの情報や判断を頼りにしている」 と、ある商社幹部もいうように、邦人保護のための情報すら、あてにされていない在外公館が多いのだ。「変える会」による改革が、スキャンダラスな面への対処のみに終わらないよう願う所以だが、一方で、外務省の情報能力を高めるべく、地道な努力も行なわれていることを紹介したい。訓練が足りない

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。