テロ集団の資金源根絶を目的に、金融庁は金融機関に対して本人確認を義務づける法案の制定を狙っているが、この動きにノンバンク各社が困惑している。 当の法案は金融機関に対して、振り込みや金融商品の換金など一回百万円以上の現金取引を行なう顧客について本人確認を義務づけるもの。確認の具体的な手段としては運転免許証や健康保険証の実物の提示を求める案がある。 頭を抱えているのは貸金業法の対象である消費者金融や商工ローンといった企業、クレジットカード会社のローン事業。特に個人事業者向け融資を手掛ける商工ローン会社や、クレジットカードのカードローンは、一回の取引額が百万円を超えることが多く、義務づけ法案に直撃される。 店頭での契約ならばまだいいのだが、問題はインターネットやメールオーダーによる申し込みの場合。現在なら免許証やパスポートのコピーなどでOKなのに、新法の施行後は実物が必要になり、顧客の利便性は失われてしまう。 貸金業は経済産業省の所管だが、義務づけ法案は金融庁主導。「聞く耳を持ってくれない」と業界は嘆いている。

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