新聞業界が軒並み不況にあえぐ中で、唯一好調な「夕刊フジ」が、警視庁から厳しい通告を受けて困惑している。“エステ”などの風俗広告をなくせと言われたのだ。 関係者によると、警視庁は死者四十四人を出した昨年九月の雑居ビル火災を機に、新宿・歌舞伎町を中心に無許可営業エステの摘発を強化している。風俗店だけでなく、情報を提供している店までも摘発するという力の入れようだ。 夕刊フジには、違法エステを含む風俗広告が連日数ページにわたって掲載されている。警視庁は「風営法でいう『幇助』に当たる可能性が高い」と指摘し、改善を申し入れたわけだ。「改善」とは、事実上、広告掲載の“自粛”を意味する。 夕刊フジがあわてるのも無理はない。広告不況の中にあって風俗広告には安定した出稿があり、年間数億円にも上る大口収入だからだ。これをカットせよ、という“お上”の命令は夕刊紙にとってはあまりに無情。警視庁の矛先は、今後、夕刊フジだけでなく日刊ゲンダイ、東京スポーツ、内外タイムスといった夕刊紙各紙に向く可能性が強く、業界は戦々恐々としているという。

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