格下げ、デフレ、発行増、外国人の売り――市場はすでに日本国債の暴落を意識している。買い手不在の中、自民党の一部から「究極の手段」を検討せよとの声が出始めた。経済のモラルハザードはどこまで進むのか。 日本の国債が追い込まれている。米格付け会社が日本国債の「シングルA」格への格下げを宣告、日本にはチリ、ハンガリー並みの信用力しかないと見なしたことで、見切りをつけた外国人投資家が国債を手放し始めた。 最大の買い手である銀行は、大手四行だけですでに約三十六兆円分もの国債を保有し、これ以上の買い増しは難しい。それでも財政出動への期待感は高まるばかりで、小泉改革が掲げる国債三十兆円枠の維持は風前の灯だ。格下げ、買い手不在、発行増など国債相場を取り巻く環境は悪化の一方である。 日銀は二月二十八日の政策決定会合で、長期国債の買い入れ額をそれまでの月額八千億円から一兆円に引き上げた。さらに踏み込んで、日銀が積極的なインフレ策を採用すれば、金利上昇懸念が生じ、それを引き金に国債が暴落する可能性は高まる。そうなったら、国債を大量に抱える銀行の痛手は計り知れない。 ついにというべきか、こうした副作用を回避するために「究極の禁じ手」を採用すべきだとの議論が、一部で囁かれ始めた。日銀による国債の直接引き受けである。

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