緊迫のパレスチナ情勢――出口はここにある

執筆者:ガーション・バスキン2002年5月号

パウエル国務長官が調停に乗り出したものの、テロと砲撃が止む気配はない。流血の連鎖を止める道はあるか? パレスチナとの共存を模索し続けてきたイスラエル人研究者が、その答を提示する。[エルサレム発]イスラエルとパレスチナの衝突を外から見ると、「狂気の沙汰」というほかないだろう。 昨年一月まで、イスラエルとパレスチナは百年続いた武力衝突に終止符を打つべく交渉を重ねていた。一月の最後の週にエジプトのタバで行なわれた最終交渉では、両者は紛争の元となるすべての重要事項に解決策を見出し、ほとんど合意に達する寸前までいっていた。 ところが現在、イスラエルとパレスチナは全面戦争に陥り、出口が全く見えない状態となっている。 わずか十四カ月の間にどうしてこんなことになったのか? イスラエルとパレスチナの人々でさえ、その経緯を正確に把握できているとは言い難い。まして、この危機からどうやって脱却できるのか、答を持っている人間は見あたらない。人々は悲観論を語るのみで、和平への希望は消失してしまったかに思える。 どこでどう道を誤ったのか? 一度は和平を約束するかに見えた交渉はなぜ頓挫し、紛争が再燃してしまったのだろうか。以下に述べるのは、和平交渉を失敗に終わらせてきた要因の数々である。

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