みずほグループで起きたATM(現金自動預払機)障害や口座振替・引き落としの遅延など大規模なシステムトラブルに金融庁が頭を悩ませている。ペイオフ解禁を無事に迎えたのもつかの間、不良債権問題とは別に金融システムへの信頼を揺るがせる要因を抱えてしまったからだ。 UFJ銀行でも発足時に二重引き落としがあったように、システム障害は最近は少なくない。だが、みずほのように障害が大規模で、混乱が長期間に及んだケースはほとんどない。復旧が遅れて混乱が長引けば、不安に駆られた預金者が給与振込など決済口座を他行に移し始めることも想定される。また、みずほ自身の支払資金の確保にも不安が生じ、財務の健全性とは関係なしに資金繰りが悪化しかねない。 日銀法三十七条には「電子情報処理組織の故障その他の偶発的な事由」で金融機関に資金不足が生じた場合には、日銀が無担保で融資するとの規定がある。これは、信用秩序の維持を目的にした特融とは別に二〇〇〇年問題などに備える目的で整備された特別貸出。みずほのシステム混乱がさらに長引けば、初の三十七条貸出が必要となってくる可能性もある。

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