読売新聞社が七月一日付けで持ち株会社制による経営体制へ移行することを打ち出し、新聞業界の話題になっている。「地方紙の買収に備えた受け皿づくりではないか」というのだ。 読売は現在、名古屋、西部(九州)での新聞発行とジャイアンツ経営を担当する「よみうり」と、東京・大阪の二本社という三社からなり、東京本社が実質的にグループの統括も担っている。だが、自ら新聞発行の現業を持っていては一部事業の利益相反などもあり十分な統括が行なえなかった。新たに設立される持ち株会社は渡辺恒雄社長がトップとなり、傘下の三社を公平に扱って、投資戦略や新規事業を活発化するという。 そこで予想されるのが、米国のようなシンジケート型での、ニュース配信による地方紙の系列化だ。読売はすでに北海道の十勝毎日など多くの地方紙にニュースを供与しているが、持ち株会社制となれば地方紙を買収してグループに組み入れることが簡単になる。“弱肉強食”の新聞業界では産経新聞の夕刊廃止をきっかけに価格競争が激化しており、赤字続きの地方紙が読売の軍門に下るというケースが出てきそうだ。

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