三月に警視庁を退職したばかりの元刑事(警部補)が、読売新聞社に再就職した。元刑事は、殺人事件などを扱う捜査一課の中で、全ての事件の現場に行って資料を作成する「特設現場資料班」という重要な部署にいたため、ライバル紙各社が警戒を強めている。 元刑事の配属先は販売局で、拡張団の統率を担当するとみられる。しかし販売とはいえ、捜査一課の刑事がマスコミに再就職するのは異例のこと。読売関係者は、「過去に販売局に再就職した捜査一課OBが定年を迎えたため、今回新たに採用した」というが、他社が納得するわけがない。「読売と捜査一課のパイプが太くなる」「元刑事が関与した未解決事件の資料が読売に流れるのでは」と、ライバル各紙は疑心暗鬼。 警視庁捜査一課内部からも、「いくら不況で再就職先の確保が難しいとはいえ、取材を受ける立場だった新聞社に入るのは、いかがなものか」との声が出ている。「(夕刊を廃止した)産経を潰せ。業界は一致団結せよ」(渡辺恒雄社長)と新聞業界の盟主を気取る読売だが、思わぬところで他社の反感を買ってしまったようだ。

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