五月初めに米デトロイトで開かれた主要八カ国(G8)エネルギー担当相会議での平沼赳夫経済産業相の発言が話題になっている。 平沼経産相は「原油価格急騰時には各国が協調して備蓄を放出し、市場を冷やすべき」と主張したが、カナダなどエネルギー資源を持つ国は「備蓄の放出は供給途絶時のみ」と価格安定化のための備蓄利用を真っ向から否定。原油のほぼ全てを輸入する日本にとって価格安定はプラスだが、一方で備蓄を放出すれば、国内資源がないだけにエネルギー安全保障に響く。平沼経産相の言い分に石油会社幹部などは首をかしげる。 そこで囁かれているのが、原油の国家備蓄機能を持つ石油公団への援護射撃説。備蓄放出→価格安定と有用な活動ができることを示せば、解体・清算の方針となっている石油公団への逆風も弱まるとの計算だ。公団の備蓄部門は金属鉱業事業団と統合されて独立行政法人となる予定だが、「国家備蓄は今や過剰」と新法人の縮小を求める声もあるからだ。 米国は今回の会議をイラク攻撃など中東情勢の緊迫化に備えるものと規定していたため、内政優先の日本の姿勢に反発も出た。

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