鈴木宗男衆院議員との癒着問題を受けて外務省は先に三十七人の幹部・中堅職員を処分したが、対露外交の現場の最高責任者で鈴木氏と親密な間柄にあった丹波實駐露大使は“無傷”で終わった。省内では「この夏の退任後の再就職先探しに躍起の丹波氏に対する温情裁定」(外務省筋)との批判が高まっている。 外務省のロシアスクールのドン的存在である丹波氏は、外交行嚢という外交官特権を悪用し、持ち出し制限の厳しい大量のキャビアを鈴木氏が日本に違法に持ち帰るのを手助けした“前科”もある。鈴木問題の渦中では、連日プールで水泳を楽しみながらも、多忙を理由に邦人記者団との定例会見を中止。やっと開いた四月下旬の会見でも責任逃れに終始し、省改革に関するビジョンすら持ち合わせていないことを露呈させた。 丹波氏は健康診断と休暇を理由に、五月八日から三週間、日本に帰国したが、退任後の就職活動も目的とされ、もはや心はモスクワにあらずといった様子だ。丹波氏をロシアスクールの切り札として守りたい外務省は、待遇、社会的地位ともに最高水準の再就職先を懸命に探しているという。

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