米国がフセイン・イラク政権打倒に向けクルド人の有力反体制組織への本格的支援に乗り出したとの情報が最近流れているが、これはブッシュ政権によるイラク攪乱工作の一環であるようだ。 独ベルリンの近郊で四月、米中央情報局(CIA)や米国務省高官とイラクのクルド人二大反体制組織である「クルド民主党」および「クルド愛国同盟」両幹部との秘密会合が開催され、フセイン政権転覆に向け米国の軍事支援と両組織の統合について合意がなされたとの情報がアラブ諸国の報道機関に流れ、一部の新聞は大きく報じた。両組織が部隊を統合し、イラク北部に攻撃拠点を設ける準備に入ったとの情報も伝えられた。 しかし、カイロの外交筋がワシントンからの情報を基に語ったところによれば、「ベルリン秘密会合」はイラクの情報機関の目をあざむく目的で開かれたもので、伝えられるような合意は存在しないという。ワシントンの消息筋も「ブッシュ政権が対イラク軍事攻撃に踏み切る場合、クルド人の組織に頼ることはあり得ない」と指摘、極秘裏に進めているはずの米軍のイラク侵攻作戦を隠蔽するための工作とみている。

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