「イオンは小売業か、それとも不動産業か」。大手スーパーのイオン(旧社名ジャスコ)について、最近一部のアナリストたちは、あながち冗談とも言い切れない口調で謎を掛ける。同社は二〇〇一年度決算では単体売上高がダイエーを超え業界トップとなった。営業利益でもイトーヨーカ堂と激しい争いを演じている。そんな小売業の「勝ち組」が、なぜ不動産会社だと言いたいのか。 謎解きは、不動産賃貸収入にある。イオンのそれは、ライバルのヨーカ堂に比べ格段に大きいのである。同収入は営業収益の一部として計上されるが、一般の商品と違って仕入れ原価などをほぼ無視できるため、営業利益への寄与率が極めて高い。イオン単体の二〇〇二年二月期の同収入は五百四十九億円(ヨーカ堂は百四十九億円)。営業利益は二百六十五億円で、仮に不動産賃貸収入がなければ、差し引き二百八十四億円の営業赤字になってしまう計算だ。同様の計算を三百五億円の営業利益のヨーカ堂で試すと、百五十六億円の黒字。ちなみに経営再建中のダイエーは二百四十九億円の営業赤字である。イオンを小売業と考えれば、“あの”ダイエーよりも採算が悪いとも読める。 もっともイオンの自己認識が、あくまでも小売業であることは疑いない。同社は二〇一〇年までに連結売上高七兆円(今期見通しは三兆三百億円)を目指し、「世界の小売業の十指に入る」(岡田元也社長)ことを目標としているのだ。西友と資本業務提携し日本進出の橋頭堡を築いた世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズなどの列強小売業と渡り合っていくには、売上高の追求と今まで以上に経営効率を上げることが求められると、イオン首脳陣は認識している。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。