アメリカの台湾への潜水艦供与計画が、着々と進んでいる。先月号(三十四頁)で既報のように、ドイツ最大手の造船会社HDWの株式七五%を米投資会社ワン・エクイティ・パートナーズ(OEP)が取得したのが発端。HDWは従来型のディーゼル潜水艦の製造では世界一の技術を誇る。HDW社の社主クラウス・レダーラーがドイツ首相府に対して極秘に行なった報告でも、米側の究極の目的が台湾へ供与する八隻の潜水艦の建造であることを認めている。 ドイツは独占禁止法違反の可能性が高いとして、欧州連合に提訴中だが、今年九月末まで延長された審理は、結局、買収を認める方向に落ち着くと見られる。 OEP側は、すでにゼネラル・ダイナミックス(GD)およびノースロップ・グラマンと共同生産の計画交渉中。OEP(親会社はシカゴのバンク・ワン・コープ)とGDの関係は、両社の大株主であるヘンリー・クラウン社が民主党の大統領候補ケネディを支援した時代にまで遡る。ニクソンを破って当選したケネディ政権下、米空軍制式採用の戦闘機が土壇場でボーイング社製からGD社製に変わった背景にも、この繋がりがあった。

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