「鄭夢準大統領」は誕生するのか

執筆者:上川亮輔2002年8月号

出馬への色気は充分。しかし、W杯が「成功しすぎて」迷い始めた鄭夢準氏。与党の民主党、野党のハンナラ党、新党の未来連合のいずれからも誘われる男が、決断を下す日は近づいている。[ソウル発]道路を真っ白く埋めつくす紙ふぶき、「テーハン、ミングクッ(大韓民国)」の大合唱。熱狂の中、ワールドカップ(W杯)で四位に輝いた韓国代表チームのパレードが続く。その先頭のオープンカーで群集に手を振るのは、ヒディンク監督と鄭夢準韓国サッカー協会会長だ。七月二日、ソウル中心部の光化門前。片側八車線の大通りを昼過ぎから完全に通行止めにして開かれた「W杯国民大祝賀会」は、大会期間中の熱狂をそのまま持ち越したような雰囲気に包まれた。 オランダに帰国するヒディンク監督や海外有力チームとの契約交渉に乗り出した選手たちは、偉業を成し遂げた満足感に満ち溢れていたが、鄭夢準氏にとっての生涯の大勝負は、まさに今、始まろうとしていた。W杯が大成功に終わったことで、鄭夢準氏が年末の韓国大統領選の有力候補として急浮上してきたからだ。「鄭夢準氏はいつ出馬表明するのか」。今、韓国の政界の関心はこの一点に集中している。現職国会議員である鄭夢準氏の動向は、混戦模様の大統領選の最大の変数だ。執拗な韓国政治記者の取材に、明確な答えを返さない鄭夢準氏の発言も、憶測を呼ぶ理由となっている。

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