ジョージ・テネットCIA(米中央情報局)長官への風当たりが日増しに強くなっている。長官を攻撃しているのは、ブッシュ政権内でイラク攻撃を積極的に推進しようとするグループだ。 テネット長官以下、CIA作戦本部の幹部は、イラク攻撃推進派の考え方に懐疑的で、サダム・フセイン追放は容易ではないと考えており、密かに国務省の親アラブ派と共同歩調をとっている。その結果、イラク国内で最大かつ信頼の置ける反体制組織であるイラク国民会議(INC)と連繋をとるどころか、CIAと国務省親アラブ派は、INCの信頼度を疑問視する情報を流すほど。 秘密工作によってサダム・フセインを打倒できる可能性はせいぜい二〇%と述べたテネット長官に対し、最も怒りを募らせているのが国防総省。高官の一人は、「テネットはあまりにも手ぬるく、与えられた任務を遂行する気がない。われわれはイラク侵攻計画を練り上げたが、CIAがこんな調子では全面的な侵攻はとてもできない」と語る。テネット長官はクリントン政権の任命で、昨年のテロをめぐる上院情報特別委員会の調査が終了し次第、更迭されると見られる。

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