大阪府は五年後に倒産する

執筆者:2002年8月号

りんくうタウンの大失敗で、「日本最悪」の財政状態に陥った大阪府。失業率も高止まりし、刑法犯発生件数も全国ワースト1。経済の立ち直りの兆しすら見えない中、苦し紛れに手をつけた将来の借金返済原資も、五年後には底をつく……。 二〇〇七年に大阪府が倒産する――。税収の落ち込みで、毎年五千億円程度の歳入不足が生じている大阪府。景気低迷に大規模企業開発事業の失敗が追い打ちをかけ、がけっぷちに追い込まれた。東京以上に厳しい経済環境の中、失業率も高止まりしている。 太田房江知事が先頭に立って、二〇〇二年度から十年かけて財政を立て直すべく「新行財政計画」を打ち出したが、計画は初年度から達成が難しい状況だ。このままでは大阪府は、一般企業の倒産にあたる「準用財政再建団体」への転落が避けられそうもない。 大阪府にとって、災いは東からやってきた。今年三月、東京地裁は大手銀行を対象にした東京都の外形標準課税条例を無効とする判決を出した。東京都は、二〇〇〇年度の徴収分七百二十四億円を返還するとともに、損害賠償金十八億円を支払うよう命じられた。大阪府も同じ銀行税条例を施行し、二〇〇二年度から五年間で千五百億円の税収を当て込んでいたが、東京地裁の判決を受け、五月に銀行税の徴収を先送りする方針を固めた。大手十六行が大阪府を提訴しており、東京都と同様に敗訴すれば、大変なことになる。府の試算では二〇〇四年三月に銀行税を還付するとなった場合、金利上乗せ分を含めた還付加算金は四十億円に上る。財政再建中の府にとって、あてにしていた税収が入らないばかりか、予定外の出費まで迫られれば、その負担は重い。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。