市場の神様の「根拠なき熱狂」

執筆者:名越健郎2002年8月号

「市場の神様」「金利の魔術師」などと称賛されたアラン・グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の神通力が衰えてきた。 昨年9月の米同時多発テロの影響があるとはいえ、エンロンやワールドコムなど米企業の会計不祥事が米国発の世界同時株安とドル全面安を招いた。FRBは昨年、11回連続で金利を引き下げたものの、株価は乱高下を続け、景気回復に大きな効果は出ていない。 グリーンスパン議長も最近は、「(FRBの)景気認識と市場の期待にずれがあった」と漏らすなど、その神話に陰りがみられる。グリーンスパン・ジョークが出始めたことも、同議長の凋落ぶりを示していよう。問「グリーンスパン議長が最近愛用しているゲーム・ソフトは何か」答「ジェットコースター・ライドだ」問「グリーンスパン議長は今年の夏休みをどう過ごすのか」答「オサマ・ビン・ラディンを消すため、アフガンの奥地へ行くだろう」 株式市場で大損した米国の投資家がグリーンスパン議長を批判した。「株式投資は赤信号だ。彼はレッドスパンと改名すべきだ」 ニューヨーク株価の混迷で、気象予報士がグリーンスパン議長に感謝した。「これでわれわれは、エコノミストより正確と評価されます」

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