淘汰が進む中国企業の「勝ち組」「負け組」

執筆者:高岡一樹2002年9月号

国内産業が国際競争の波に晒されるWTO加盟の影響は、早くもはっきりと見え始めている。対中進出でしのぎを削る日本企業など“外資”にとっては、「勝ち組」をパートナーに選べるかが将来を左右することに――。[北京発]中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してから八カ月。国内産業を保護する防波堤だった関税が下がり、国有企業の淘汰が始まった。計画経済の残滓を一掃した後に、国際的な競争に勝ち残れる中国企業は登場するのか。 日産自動車のカルロス・ゴーン社長が基調講演のゲストスピーカーとして招かれた六月の北京国際自動車ショー。トヨタ自動車は中国事業の責任者である白水宏典副社長や豊田章男常務らが特設ブースの雛壇に登り、今秋から天津汽車夏利(天津市)と合弁生産する初のトヨタブランド車「T1」(仮称)をお披露目した。二年に一度の祭典は大いに盛り上がり、八日間の会期中に四十万人の入場者が訪れた。今、中国沿海地域の都市部はマイカーブームで沸き立っている。 引き金となったのは今年一月一日から輸入乗用車の関税が大幅に引き下げられたこと。排気量三千cc超の税率を八〇%から五〇・七%に、三千cc未満は七〇%を四三・八%に引き下げた。中国政府は輸入車を高い関税と、総量を規制する輸入割当制度の二つの壁で制限し、国内メーカーが打撃を受けないようにしてきた。このため外資系を含め中国で生産された乗用車は完全な売り手市場。法外な値がつく輸入車よりもわずかに安い価格に設定するだけでよかったのだ。

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