先ごろ成立した証券決済システム改革法で政府が使えるようになった「金利スワップ」が、マーケット関係者の注目を集めている。「利用計画があまりにも拙劣で、あきれるというより笑ってしまうシロモノ」(都銀関係者)だからだ。 財務省によると、「十年物国債の引き受け手がいない事態が生じ、半年の国債で回していくとなると、金利が変動してリスクが大きくなるから、そのヘッジのために金利スワップを使いたい」(寺澤理財局長)。「手数料などの支払いが発生するから予算に計上して」「年間実施限度額も公表する」(同)という。 政府という国債市場のガリバーが他者に手の内を明かすだけでもお笑い草だが、そもそもこの理屈自体に無理がある。財務省が想定しているような長期債の引き受け手がない事態とは、すなわち国債市場自体が崩壊している状況だ。国債市場の影のような存在であるスワップ市場も、当然機能しているはずがない。 使えないのに「使う」と強弁する財務省が強行すればどうなるか。国債の発行体という巨人のスワップ利用により金利は暴騰し、日本経済は崩壊する……。

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