十五年ほど前まで世界市場を制覇すると恐れられた日本の半導体産業が表舞台から消えようとしている。原動力だったDRAM事業から相次ぎ撤退し、世界シェアは五〇%超から二〇%台にまで低下した。この惨状を食い止めるべく、NEC、東芝、日立製作所など半導体メーカー十一社は今年七月、先端SoC基盤技術開発(ASPLA)を共同出資会社として設立、日の丸連合で一発逆転を狙う起死回生策に打って出た。 半導体各社はASPLAを通じて回路線幅九十ナノメートル(ナノ=十億分の一)以降の次世代半導体の設計・製造プロセスを統一する。各社バラバラに開発してきた設計・製造プロセスを統一すれば、一つの生産ラインを相互に活用することが可能だ。ひいては総投資額二千億円に上る九十ナノメートル対応の次世代工場を共同建設でき、業界内で無駄な投資を避けられる。「九〇年代に急成長したファウンドリー(受託生産会社)に代わる新しいビジネスモデルを築く」。ASPLA設立の記者会見で業界幹部は自信満々に語った。 ところが、そんな思惑と裏腹に結局、ASPLAで喜ぶのは、当のファウンドリーである台湾メーカー――。こんな話が業界の一部で囁かれ始めた。ある台湾企業の幹部も「TSMCにとってはおいしい話になるのでは」と指摘する。

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