ある連続起業家と日本女性の挑戦

執筆者:梅田望夫2002年10月号

 写真のイスラエル人男性と日本人女性を、本誌の読者はきっと誰も知らないと思う。 Davidi Gilo(ダビディ・ギロ)。一九五八年テルアビブに生まれ、高校卒業後に入隊。約五年間の軍隊生活では歩兵としてレバノン戦争に参加。その後、渡米、カリフォルニア大学バークレー校に入学するも、一学期でドロップアウト。突如、アラスカでペンキ塗装事業を起こし小さな成功を収めるが、それには飽きたらず一念発起、シリコンバレーに戻り、独学で半導体技術を学び、八〇年代後半から次々と半導体ベンチャーを創業して株式公開した。イスラエル・ハイテク少年たちにとって憧れの英雄だ。 東恵美子。札幌生まれ。国際基督教大学教養学部語学科卒。モービル石油、マッキンゼーを経て渡米。ハーバード・ビジネススクール卒業後、「二、三年ニューヨークで働いたら面白いだろうなという軽い気持ちで」投資銀行のリーマン・ブラザーズに就職。そのままニューヨークで十年、キャリアを磨く。文系ながら情報技術(IT)の最先端を独習。一九九六年、メリルリンチのテクノロジー産業担当マネージング・ディレクター(共同経営者)として、アメリカ人弁護士の夫とともにシリコンバレーにやってきた。

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