二〇〇八年の北京五輪を控え、テレビのデジタル放送用カメラの中国への売り込みで、松下電器産業とソニーが熾烈な競争を展開中だという。松下が極度のダンピング攻勢に出ているとの情報も飛び交っている。 五輪を機に一気にデジタル化をはかる中国の市場を取れるか否かは、メーカー各社にとっては死活問題。とりわけ放送局向けのデジタルカメラは世界の市場を松下とソニーがほぼ独占しており、この構図が中国にもそのまま持ち込まれている。 放送局用の中型デジタルカメラは日本国内では一台六百万―七百万円が相場だが、松下は「中国では、この国内価格を無視して半値に近いオファーを始めたようだ」(北京駐在のメーカー関係者)との情報が出ているのだ。 松下は映画機器のデジタル化でもコダックなどを抑えて中国側に猛烈なアピールをしている。過去最悪の赤字からの脱却を目指して必死の様子がありありと浮かぶが、「露骨なダンピングが発覚すれば、欧米からの反発の可能性」(同)もあり、一歩間違うと国際的な通商問題にさえなりかねない状況のようだ。

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